2021年  9月入選作品 (2021年  8月応募分から) <順不同>

自 由 吟

そばかすは可愛いしるし今はシミ 田坂泰子 (東京都世田谷区・74歳)
禿げてきて知った地肌の美しさ 浅見忠司 (東京都三鷹市・74歳)
爺ちゃんの肌見ただけで蚊は逃げる 加藤佑子 (東京都調布市・75歳)
孫帰り夜店の金魚一人ぼち 正能照也 (福岡市南区・74歳)
帰省の子満艦飾に爪塗って 金子和子 (東京都豊島区・86 歳)
十五夜に背中押されてプロポーズ 沢田正司 (愛知県常滑市・83歳)
着脱のギャップ激しいマスク美女 荘子 隆 (宮崎県宮崎市・70歳)
風呂上がり滴弾けずシワの中  長崎正子 (東京都三鷹市・77歳)
わが足の爪が切れない腹が邪魔 杉山鈴谷 (東京都豊島区・86歳)
普段着で息抜きばかりテレワーク 小菅隼人 (横浜市瀬谷区・58歳)
爪のアカ飲めと言われて口喧嘩 笠原たかし (東京都豊島区・81歳)
負けるなと今日も鏡に叱咤され 山田 明 (千葉県印西市・71歳)
休刊日飽きたテレビに暇つぶす 鴨井喜子 (福島県会津若松市・74歳)
午前様懲りぬ亭主に爪を研ぐ 坂本孝子 (東京都豊島区・87歳)
酒場やめ医院はしごの定年後 横手敏夫 (埼玉県南埼玉郡・67歳)
長生きへそっと小銭を貯め始め 渡辺勇三 (奈良県宇陀市・78歳)
手洗いとマスクで風邪に見放され 山登爺 (福岡県春日市・68歳)
母見舞い明日は我が身の老いを見る 大畑廣起 (岩手県盛岡市・73歳)


課 題 「ふるさと」  

ふる里は母の愛情てんこもり 大月佐江子 (山梨県上野原市・73歳)
遠い日の僕に出逢える祭り笛 渡辺勇三 (奈良県宇陀市・78歳)
良かったな母校があったふるさとに 横手敏夫 (埼玉県南埼玉郡・67歳)
いじめなど知らない過疎の子供たち 大畑廣起 (岩手県盛岡市・73歳)
何故帰る山とあの娘に会うために 正能照也 (福岡市南区・74歳)
初恋の人は今でも同い齢 はぐれ雲 (東京都西東京市・72歳)
ふるさとに残る未練は片想い 美川州平 (神奈川県相模原市・92歳)
故郷は人より案山子溢れてる 城門塵 (横浜市泉区・68歳)
ふる里はコンビニだけが新しい 藤井敬三 (東京都稲城市・81歳)
古里の山が見たくて夏帰省 柳谷益弘 (静岡県駿東郡・79歳)
ふるさとの味が恋しい独り者 沢田正司 (愛知県常滑市・83歳)
うさぎとは美味しいものと思ってた 岡本充敏 (東京都大田区・59歳)
ふるさとも都会も同じ虫の声 松永成三郎 (千葉県船橋市・83歳)
ヒオシガリ下町なまりぬけません 萬國谷慶子 (東京都江東区区・73歳)
ふるさとの友を都会が離さない 荘子 隆 (宮崎県宮崎市・70歳)
ふるさとへの想いと負い目交じる盆 山岸由美子 (東京都中央区・66歳)
帰省する隣り近所の眼が光る 萩原倫子 (東京都千代田区・71歳)
里帰りできない訳は国に聞け 岡田久男 (東京都大田区・84 歳)
墓じまい詫びと安堵と虚脱感 亀津房子 (東京都大田区・67歳)
相続に悩む田舎の負動産 石田達夫 (千葉県市原市・65歳)
景品で選ぶふるさと次はどこ 遠藤靖彦 (千葉市稲毛区・73歳)
ふるさとの番組で満腹のビデオ 橋本湧水 (埼玉県所沢市・70歳)
宇宙から眺めるふるさとは地球 長島秀治 (千葉市中央区・82 歳)
故郷になってみたいな皆さんの 國定伊代子 (東京都千代田区・77歳)
逆境になるとふるさと我を押す 二束三文 (東京都豊島区・79歳)
帰省してころり観音手を合わせ 木村忠信 (東京都豊島区・81歳)
悪友が今では街の有力者 茶唄鼓 (広島県福山市・67歳)
げんきかな郷のハガキのデカい文字 風間なごみ (山梨県甲府市・80歳)
卓急便チラシの裏の母の文字 鴨井喜子 (福島県会津若松市・74歳)
ふるさとは日々遠くなる余生なり 細川岩男 (さいたま市大宮区・76歳)
リモートの帰省は妻の思う壺 隼 人 (横浜市瀬谷区・58歳)
子や孫のふるさとになるニュータウン 山田 明 (千葉県印西市・71歳)




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