２０21年  6月入選作品　（２０21年  5月応募分から）　＜順不同＞

自　由　吟

縁側に夫唱婦随の日向ぼこ 鴨井喜子 （福島県会津若松市・74歳）
妻という捕手のサインに逆らえぬ 渡辺勇三 （奈良県宇陀市・77歳）
挑んでも妻には勝てぬ口喧嘩 佐藤　光 （東京都豊島区・81歳 ）
いくらでも頭下げますタダだもの 藤原規久子 （東京都三鷹市・68歳）
百円で孫と折り合う肩叩き 吉澤康裕 （東京都豊島区・79歳）
マスクして素顔を知らぬ二年生 山田　明 （千葉県印西市・70歳）
少子化の波に呑まれる鯉のぼり 小菅隼人 （横浜市瀬谷区・58歳）
顔に出る嘘もマスクで無事にすみ 星　蕘志 （東京都三鷹市・86歳）
一度だけ夫の頭叩きたい 山口恭子 （東京都武蔵野市・73歳）
愛犬に待てと自粛を教え込み あめんぼ （東京都稲城市・80歳）
自粛だと言われなおさら腰が浮く まわた （東京都西東京市・71歳）
親孝行親が長寿でくたびれる 山登爺 （福岡県春日市・67歳）
あの世までお付き合いする五十肩 坂本孝子 （東京都豊島区・87歳）
晩酌に時計進ますお爺ちゃん やんちゃん （福島県二本松市・59歳）
不眠症だけに聞こえる闇の音 長野　晃 （奈良県奈良市・81歳）
春眠は尿意によって破られる 荘子　隆 （宮崎県宮崎市・70歳）
青春の下宿が今やパーキング 正能照也 （福岡市南区・74歳）
白壁に落書き消すには惜しい絵だ 沢田正司 （愛知県常滑市・83歳）


課　題　「胸」　　

クラス会マドンナ来るか胸躍る 正能照也 （福岡市南区・74歳）
胸躍るもうすぐ会える汽車の君 清水美砂子 (さいたま市北区・70歳）
胸キュンとなった書棚の片想い 大月佐江子 （山梨県上野原市・73歳）
あの時の今なら言える胸の内 萬國谷慶子 （東京都江東区区・73歳）
卒アルの青春に胸熱くなり やんちゃん （福島県二本松市・59歳）
ふたつみつ胸にしまってあるヒミツ 右田俊郎 （東京都大田区・78歳）
性別を確かめるため胸を見る 高野純子 （東京都町田市・52歳）
胸元に視線が来ない歳になり 藤井敬三 （東京都稲城市・80歳）
歯が一つ抜けただけでも胸に穴 山岸由美子 （東京都中央区・66歳）
胸の病と言ってあります痔の手術 橋本湧水 （埼玉県所沢市・70歳）
胸の内小声のつもり聞こえてる 萩原倫子 （東京都千代田区・71歳）
妻からの優しい言葉胸騒ぎ 木村行吉 （名古屋市中区・72歳）
胸の内見透かされてる誉め言葉 小菅隼人 （横浜市瀬谷区・58歳）
コロナ禍で胸にしまった旅行案 松永成三郎 （千葉県船橋市・83歳）
恥じらいの胸元隠す露天風呂 鴨井喜子 （福島県会津若松市・74歳）
セミヌード胸ときめいた若き日々 二束三文 （東京都豊島区・79歳）
馬鹿をみた豊胸ほめて凄まれる 美川州平 （神奈川県相模原市・92歳）
旅いつも危うきものを胸に秘め 渡辺勇三 （奈良県宇陀市・77歳）
閻魔には知られたくない悪巧み 城門塵 （横浜市泉区・68歳）
妻無言胸に手を当て考える はぐれ雲 （東京都西東京市・71歳）
胸のうち納めた事が多すぎる 小林伸行 （静岡県御前崎市・年齢不詳）
子の巣立ち笑顔に隠す胸の穴 亀津房子 （東京都大田区・67歳）
誰とでも胸を開いて話したい 國定伊代子 （東京都千代田区・77歳）
武勇伝よりも胸打つ闘病記 岡田久男 （東京都大田区・82歳）
胸のすく啖呵言えずに臍を噛む 石田達夫 （千葉県市原市・65歳）
ランナーも最後は胸で勝負する 岡本充敏 （東京都大田区・59歳）
接種済バッジを着けて街に出る 遠藤靖彦 （千葉市稲毛区・73歳）
ヤングケアラー５％に胸いたむ 長島秀治 （千葉市中央区・82 歳）
高齢の胸の高鳴り動悸だけ 長野　晃 （奈良県奈良市・81歳）
爺ちゃんは胸毛あっても髪がない 荘子　隆 （宮崎県宮崎市・70歳）
ごつい手と分厚い胸の父だった 柳谷益弘 （静岡県駿東郡・79歳）
容赦なく胸を追い越す腹まわり 八木五十八 （岡山市中区・60歳）
まご娘試食大好き家系だね 横手敏夫 （埼玉県南埼玉郡・67歳）
胸叩き請けた約束すぐ忘れ 木村忠信 （東京都豊島区・81歳）
借金も大きくなればつく度胸 沢田正司 （愛知県常滑市・83歳）
胸算用コロナで全て御破算にへ 岩窟王 （さいたま市大宮区・76歳）
胸襟を開けば見得る人に情 ひぐちいちおう （埼玉県上尾市・62歳）
苦しさは腹に来ないで胸にくる 糸井淳治 （大阪府岸和田市・73歳）
五輪パラ読めぬ総理の胸の内 鎌田康裕 （山形県鶴岡市・84歳）




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