２０21年  2月入選作品　（２０21年  1月応募分から）　＜順不同＞

自　由　吟

幸せにしますと言って五十年 浅見忠司 （東京都三鷹市・73歳）
のうのうと生きて白髪に風が吹く だんでらいおん （埼玉県鴻巣市・54歳）
老人会見守り役が見守られ 杉山鈴谷 （東京都豊島区・86歳）
歩むこと忘れぬように杖を持つ 風間なごみ （山梨県甲府市・80歳）
歳とれど目の行き先は胸あたり 笠原たかし （東京都豊島区・81歳）
女心年は大かた曖昧に 藤原規久代 （東京都三鷹市・68歳）
サバをよみ干支を聞かれて言い淀み 長崎正子 （東京都三鷹市・77歳）
試着室ファスナー睨み独り言 鴨井喜子 （福島県会津若松市・74歳）
婆ちゃんも目力を出すアイシャドウ 金子和子 （東京都豊島区・86 歳）
言い訳は聞きたくもない朝ぼらけ 斉藤道子 （東京都三鷹市・65歳）
猛犬に注意は奥方のことか 渡辺勇三 （奈良県宇陀市・77歳）
欲詰めたポッケの底に穴がある 沢田正司 （愛知県常滑市・83歳）
幸せが不幸装いやって来る 長野　晃 （奈良県奈良市・81歳）
ドカ雪に戸惑っている温暖化 寺井一也 （石川県珠洲市・63歳）
屋根も雪目印埋もれ何処歩く 木本憲枝 （東京都豊島区・73 歳）
歳月が教師生徒の垣根とる 山登爺 （福岡県春日市・67歳）
セルフレジ客を神から人に変え 山田　明 （千葉県印西市・70歳）
星雲の瞳に夢は無限大 小林和喜子 （愛知県春日井市・76歳）


課　題　「笑う」　　

初笑いマスクを着けてうっふっふ 遠藤靖彦 （千葉市稲毛区・79歳）
出迎える妻の笑顔で疲れ飛ぶ 大月佐江子 （埼玉県上野原市・年齢不詳）
微笑みは心和らぐおもてなし 長島秀治 （千葉市中央区・８２歳）
マスクして目隠しをして福笑い 岡田久男 （東京都大田区・82歳）
年初から歪み牧しの福笑い 松永成三郎 （千葉県船橋市・83歳）
にらめっこ父の背中が笑ってる 藤井敬三 （東京都稲城市・80歳）
あまりにも面白すぎて泣き笑い 國定伊代子 （東京都千代田区・77歳）
笑いジワに人生刻む好々爺 亀津房子 （東京都大田区・67歳）
無理と無茶笑い飛ばせる老いの智恵 山岸由美子 （東京都中央区・66歳）
大笑い心のしわが取れてゆく オクラの花 （静岡県磐田市・80歳）
人生の下り坂かもひざ笑う 橋本湧水 （埼玉県所沢市・70歳）
はやぶさを笑顔笑顔が出迎える 石田達夫 （千葉県市原市・65歳）
出迎える笑いが怖い朝帰り 塩津誠治 （岡山市中区・60歳）
帰ったら犬の尻尾が笑いだす はぐれ雲 （東京都西東京市・71歳）
母の声真似るインコの高笑い だんでらいおん （埼玉県鴻巣市・54歳）
しくじりを笑ってかばう夫婦仲 二束三文 （東京都豊島区・79歳）
トンチンカンそれでも夫婦笑い合い 風間なごみ （山梨県甲府市・80歳）
喧嘩して飲んで笑顔に酔い夫婦 横手敏夫 （埼玉県南埼玉郡・67歳）
孫の笑み財布の諭吉かっさらう 茶唄鼓 （広島県福山市・67歳）
ゲームする子らに笑いの顔がない 萩原倫子 （東京都千代田区・71歳）
山笑うきつい下りで膝笑う 萬國谷慶子 （東京都江東区区・年齢不詳）
木漏れ日に遺影の妻の頬ゆるむ 美川州平 （神奈川県相模原市・92歳）
マスク越し目だけで笑う年となり 糸井淳治 （大阪府岸和田市・73歳）
さりげなく笑えば福が寄ってくる 柳谷益弘 （静岡県駿東郡・79歳）
去年より減った気がする笑い皺 ひぐちいちおう （埼玉県上尾市・62歳）
芝生ではにっこり笑う土踏まず 木村行吉 （名古屋市中区・72歳）
口を閉じ笑ってみたが気味悪し 還暦爺 （東京都江東区・60歳）
おやじぎゃぐ愛想笑いで無視をされ 木村忠信 （東京都豊島区・81歳）
マスク顔成人式の笑み見えぬ 鎌田康裕 （山形県鶴岡市・84歳）
お笑いの特番猫もそっぽ向く 鴨井喜子 （福島県会津若松市・73歳）
鶴瓶は見ているだけで笑い出る 城門塵 （横浜市泉区・67歳）
豪快に笑い飛ばした売り言葉 沢田正司 （愛知県常滑市・83歳）
おお怖い笑う門にはコロナ来る 岩窟王 （さいたま市大宮区・76歳）
きっと来るマスク外して笑える日 荘子　隆 （宮崎県宮崎市・69歳）
腹抱え笑った日々が懐かしい 寺井一也 （石川県珠洲市・63歳）
想い出が写真の中で笑ってる 渡辺勇三 （奈良県宇陀市・77歳）



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