しにあせん これまでの入選作品



 2017年4月入選作品


自 由 吟

本当にこの人だったか初恋は 本多秀司(東京都三鷹市・年齢不詳)
アルバムに貼れない過去がふたつみつ 斉藤道子(東京都三鷹市・65歳)
二人三脚たまに脱線したくなる 真田義子(仙台市太白区・71歳)
朝帰り忍者になって気配消す 荘子 隆(宮崎県宮崎市・65歳)
忘れてた花が教える誕生日 佐藤 光(東京都豊島区・76歳 )
バラ一本きのうの喧嘩チャラにする 金子和子(東京尾豊島区・79歳)
懐メロで少し緩んだ夫婦仲 長崎正子(東京都三鷹市・73歳)
切れそうでやっと結んだ赤い糸 やんちゃん(福島県二本松市55歳)
大好きなチョコより甘い孫のキス 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
猫並みに鈴を付けられ老いを生き あめんぼ(東京都稲城市・76歳)
パリの日々と書いてある箱資源ゴミ 小山洋子(東京都三鷹市・77歳)
歌謡ショー八割占める姥桜 吉澤康裕(東京都豊島区・74歳)
筋トレに疲れ脳トレやめて酒 高木正明(さいたま市中央区・80歳)
交番にぼくにそっくりモンタージュ 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
免許証返す勇気が身を守る よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
あいまいな話で皆同じ穴 ほろ酔い(島根県隠岐郡・81歳)
八十路過ぎあと何回の桜かな 中村百合子(東京都板橋区・85歳)


課 題 吟 「うれしい」  

春風が行き交う顔もほころばす 吉沢かおる(東京都中央区・64歳)
うれしいが出費も痛いお入学 石田達夫(千葉県市原市・65歳)
三浪にやっと届いたサクラサク 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
お守りをそっと手渡す春の駅 山岸由美子(東京都中央区・年齢不詳)
ランドセル小っちゃな肩ではしゃいでる 松本紀代子(千葉県我孫子市・年齢不詳)
手料理のレシピ欲しいと嫁が言う 表 明子(東京都新宿区・67歳)
体重計折れ線グラフ下向きに 木村忠信(東京都豊島区・77歳)
ご贔屓の看護師さんが計る脈 福村まこと(京都市下京区・73歳)
血糖値下がり禁酒の栓を抜く 藤井敬三(東京都稲城市・76歳)
麻酔から醒めてこの世で生きている 長島秀治(千葉市中央区・78歳)
再検査問題なしと医者が言う はぐれ雲(東京都西東京市・67歳)
病癒え弾む心の厚化粧 落犀庵(広島県福山市・63歳)
ひな祭り私が雛でいいかしら 萩原倫子(東京都千代田区・71歳)
義理チョコもこれだけくれば米寿でも 美川州平(神奈川県相模原市・84歳)
待っていたホワイトデーの倍返し 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
あゝ嬉し明日は彼女とデートの日 長嶋昭美(横浜市緑区・85歳)
ほめことば世辞と分かるが頬ゆるむ 岡田久男(東京都大田区・78歳)
結婚は嬉しき後にほろ苦さ 松永成三郎(千葉県船橋市・83歳)
嬉しさを撮り尽くせないもどかしさ 遠藤康彦(千葉市稲毛区・年齢不詳)
落したと思った定期引き出しに 比良正弘(川崎市中原区・87歳)
うれしくて飛んで跳ねたら足くじく 長田博昭(東京都葛飾区・71歳)
お先にと課長笑顔で部下笑顔 氷川の杜(さいたま市北区・68歳)
金運はないがうれしい人の運 やんちゃん(福島県二本松市55歳)
他を許し自分も許しいい気分 國定伊代子(東京都千代田区・77歳)
老境に小さな幸も沁みてくる 亀津房子(東京都大田区・67歳)
老大国うれし悲しが天こ盛り 岩窟王(さいたま市大宮区・72歳)
うれしさも中くらいならいいじゃない 橋本勝三(埼玉県所沢市・69歳)
思い出し笑いのように咲く桜 安藤昌之(千葉県浦安市・70歳)
田畑にもちょっと嬉しい春だより 荘子 隆(宮崎県宮崎市・65歳)