しにあせん これまでの発表作品



 2016年6月発表作品


自 由 吟

夢の中老いた自分は出てこない もず吉(大阪府堺市・84歳)
ぼくの足踏んでにっこりハイヒール 沢田正司(愛知県常滑市・78歳)
ときどきは痛む昭和の古い傷 よもやま話(奈良県宇陀市・72歳)
忘れたいことはなかなか忘れない 葛西文夫(埼玉県朝霞市・88歳)
仏壇がビール飲もうと誘う夜 斉藤道子(東京都三鷹市・65歳)
負け犬が今夜も吠える縄のれん 和田ふみ緒(東京都板橋区・82歳)
乾杯を十回はしたクラス会 浅見忠司(東京都三鷹市・67歳)
生ビール泡と本音がこぼれそう 山口恭子(東京都武蔵野市・67歳)
うれしいな主役になった試着室 真田義子(仙台市太白区・71歳)
白内障肌が眩しい衣替え あめんぼ(東京都稲城市・75歳)
服を着てピアスまでつけ犬散歩 木村忠信(東京都豊島区・76歳)
うちの犬体形までも父ちゃん似 伊藤真知子(東京都豊島区・年齢不詳)
手を引いた孫に惹かれる運動会 鴨井喜子(福島県会津若松市・69歳)
老い二人刺激が無けりゃボケとウツ 高木正明(さいたま市中央区・80歳)
乾杯のジョッキ上がらずへたりこむ 小山洋子(東京都三鷹市・77歳)
飼い犬のしつけで夫婦仲違い 吉澤康裕(東京都豊島区・74歳)
しゃべれなくなった理由は電池切れ 草野たえ(佐賀県唐津市・61歳)
わが家訓舌を出しても金だすな イカケヤ(名古屋市緑区・64歳)
株預金無くて血圧安定値 鴨井喜子(福島県会津若松市・69歳)


課 題 吟 「あべこべ」  

親が子に注意されてる参観日 橋本勝三(埼玉県所沢市・69歳)
赤信号踏み出し孫に止められる 星野睦悟朗(さいたま市浦和区・74歳)
飲みすぎる住職さとす檀家の眼 福村まこと(京都市下京区・72歳)
余興よりお客の野次がウケている 藤井敬三(東京都稲城市・75歳)
あべこべに穿いたパンツで浮気ばれ 小林和夫(東京都中央区・80歳)
後ろ前知らせたはずが睨まれる 外村さおり(千葉県佐倉市・60歳)
裏返し着換えてみれば後ろ前 美川州平(神奈川県相模原市・82歳)
猫を抱き亭主にしないあのキッス 比良正弘(川崎市中原区・87歳)
力持ちお姫様抱っこ出来る妻 山岸由美子(東京都中央区・年齢不詳)
男子トイレここにも逆相バスの旅 原 正三((島根県出雲市・61歳)
ダウンしたヘルパー乗せる車椅子 吉沢かおる(東京都中央区・64歳)
老老の米寿が喜寿を介護する 氷川の杜(さいたま市北区・67歳)
母がもしわが子だったら手にあまる 草野たえ(佐賀県唐津市・61歳)
体質が子供に似たと親が言う ぷーちゃん(大阪市阿倍野区・40歳)
小六にスマホの操作仕込まれる 葛西文夫(埼玉県朝霞市・88歳)
若い子に算盤流行り老いスマホ 國定伊代子(東京都千代田区・77歳)
あべこべに孫に教わる楽しさよ 松永成三郎(千葉県船橋市・83歳)
リバーシブルと舌のまわらぬシャツを着る 萩原倫子(東京都千代田区・71歳)
右利きを左利きにもする鏡 川上芳信(栃木県宇都宮市・65歳)
デートの日場所あべこべで彼女泣き 長嶋昭美(横浜市緑区・85歳)
負うた子に肩支えられ散歩道 亀津房子(東京都大田区・67歳)
患いも医者に教えるほどになる はぐれ雲(東京都西東京市・66歳)
豪州でもらった地図は北が下 安藤昌之(千葉県浦安市・70歳)
あべこべに吊るしてもよい抽象画 沢田正司(愛知県常滑市・78歳)
絶景かな天橋立股のぞき 長島秀治(千葉市中央区・78歳)
預金して利息どころか手数料 表 明子(東京都新宿区・67歳)
税逃れ苦労するほど儲けたい 岡田久男(東京都大田区・77歳)
詐欺電をやり返すのもボケ防止 よもやま話(奈良県宇陀市・72歳)
ロケットにお金つぎ込み民は飢え 石田達夫(千葉県市原市・65歳)
逆縁は神の定めかいたずらか 落犀庵(広島県福山市・62歳)
あべこべに気づかぬ人は要注意 柳谷益弘(静岡県駿東郡・74歳)